空き家に火災保険は必要?不要?損しないために知っておきたい火災と失火責任法の話

空き家に火災保険は必要?

 

だれも住んでいない空き家から火の手が上がってしまったら大変なことになる・・・。

 

そんな危機感から、空き家に火災保険が必要かどうか心配になりますよね。

 

この記事では、空き家に火災保険が必要かどうかを解説していきます。

 

それでは、まいりましょう。

①空き家の火災保険は割増に

同じ星空のもと、遠くはなれた実家の空き家に思いを馳せ、「周りに迷惑をかけていないだろうか?何かあったらどうしよう?」と考えるのは、人としてとても自然なことです。

 

建物が周りに迷惑を及ぼすようになれば、建築基準法でも、空き家対策法でも、民法でも、 必ず所有者が責任を負うことになります。

 

もちろん、面倒だからといって、空き家にわざわざ火をつけて燃やすのは立派な犯罪。

 

そのせいか、空き家について多い質問の一つが「空き家の火災保険は必要か不要か?」です。

 

いや、空き家の火災保険は必要か不要か以前に、火災保険について意外と知らない2つの事実があります。

 

・空き家の火災保険は、お願いしても保険会社から断られる
・引き受けてくれる場合でも保険料が割増になる

 

空き家のように毎日利用していない家、建物については、保険会社もあまり扱いたがらないということなのです。

 

保険会社によって異なりますが、空き家の火災保険を引き受けてくれる場合でも保険料は通常の建物の2割から4割増しになります。

 

ビジネスの世界では、空き家は「リスクが高い」とみられているのです。

 

②失火責任法についてシッテル?

しかし、それでは最初の「空き家の火災保険は必要か不要か?」という質問に答えたことになりません。

 

空き家にかけるべき火災保険についての正解は、ズバリ次のとおりです。

 

「空き家には、火災保険は不要である」

 

この意外な結論は、ほとんどの方は知りません。

 

さて、空き家に火災保険が不要な理由は何でしょう?

 

それは「失火責任法」という法律にあります。

 

この法律、たいへん変わった法律で、まず法律の名前がありません。

 

「失火責任法」というのは、みんなそう呼んでいる通称です。

 

それから全部でたった1つの条文しかない法律です。

 

法律名なし、第1条でおしまいという法律で、文語体で書いてあります。

「民法第七百九条ノ規定、失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタ ルトキハ此ノ限ニ在ラス」

訳:
民法第709条の規定は、失火の場合には、適用しない。
ただし、失火者に重大な過失があったときは、この限りでない。

 

で、民法709条というのはいわゆる不法行為の規定で、一言で言えば、「他人に損害を与えた場合には、その損害を賠償する」というものです。

 

それを、失火の場合には適用しない、失火で隣の家に延焼しても火元の家には責任がない、そう言っているのです。

 

日本の家屋は紙と木でできていますから、昔から火事になれば燃え広がり大火になることがしばしばありました。

 

そのことを踏まえ、「火事はお互い様、恨みっこなし」となったのです。

 

この「失火責任法」について知られていないことをいいことに

 

「空き家だから火災も心配でしょうから、隣の家の賠償もできるようにウチで数千万円の火災保険を掛けておきましょう」と勧めてくる空き家管理業者もいますので要注意です。

 

もちろん、例外があります。

 

故意に火をつけるのは放火ですし、失火者の重大な過失により隣の家が燃えたら、それは損害賠償することになります。

 

そうすると、「何が重大な過失なのか?」という疑問に当たります。

 

最終的に裁判所か個別に判断しますが、一般的な傾向では「そりゃ誰が考えても火事になるだろう」と思うものが重過失に当たると考えていいでしょう。

 

以下に具体例を載せておきます。

 

*失火責任法の「重過失」の例*
1.重過失に当たる=賠償責任ありとされたもの
・ニクロム線の電熱器を布団に入れてこたつ代わりにした火災
・わらを保管する倉庫でたばこを吸って吸い殻をわらに投げた火災
・石油ストーブ近くにガソリンの入った瓶を放置し、いつのまにか倒れてしまった火災
・火鉢の炭火をおこすのにわざと消毒用アルコールをかけた火災

2.重過失でない=賠償責任なしとされたもの
・煙突から飛んだ火の粉による火災
・襟が石油ストーブに倒れて起きた火災
・仏壇のろうそくが倒れた火災

 

さて、空き家で上記のようなことが起きるか?

 

といわれれば、普通「ノー」でしょう。

 

空き家で起きそうな火災といえば、せいぜいネズミが電線をかじってショートして起きる火災くらいでしょう。

 

ここまでで空き家に火災保険をかける必要ないとわかっていただけたと思いますが、万々々々が一、火事になって延焼した場合には、お隣に20程度のお見舞金を渡すことは常識として知っておいて損はありません。

 

火災保険とは、燃えた自分の家を再建築するためにかける保険です。

 

どうしても空き家を再建築する必要があるような殊勝な例を除いて、空き家に火災保険をかける必要はないのです。

 

③空き家の保管方法

まとめると、火災に対しては、重過失といわれない程度の空き家の管理は必要です。

 

失火責任法についてはわかったとしても、外壁が隣の家に飛んでキズをつけたような場合、 火災以外のことでは所有者に責任が降りかかってきますから、空き家を放置して、いいことは何もありません。

 

そもそも他人に迷惑をかけないというのが日本人としてしょうし、空き家の価値を少しでも維持するために、あたり前のことですが、できることはしておいたほうが良いでしょう。

 

以上、火事を心配する場合には、最低限次のことをしておけば大丈夫ではないでしょうか。

 

・気のブレーカーを落とす。場合によっては電気メーターを外してもらう
・水道の元栓は閉じる
・ガスは解約。プロパンガスは引き取ってもらう
・灯油タンクは空にしておく
・燃えやすいものは外に置かない

 

まとめ

いかがでしたか?

 

空き家に火災保険をかける必要がないことを解説していきました。

 

とはいえ、さきほどもお話ししましたが、日本人は他人に迷惑をかけたくないと思う人種です。

 

もしも、火災が起きてしまい、隣人や近隣の方の人生を変えてしまったら・・・!

 

と思うと、日本人でなくとも危機感を感じるかもしれませんね。

 

空き家が火災になる危険性や危機感を感じるのであれば、空き家をしっかりと適切な方法で処分する必要があります。

 

適切な方法とは、空き家の売却です。

 

空き家を売却することで、次の所有者へ引き渡すのです。

 

そうすれば、次の所有者が空き家に住むなり、解体して土地活用するなり、売却することで少なくとも火災のリスクは激減するはず。

 

とはいえ、「空き家を売却できていれば、とっくにしている。空き家が遠方にあって、なおかつ売却する時間もないんだ」

 

という方も多いのではないでしょうか。

 

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